[Review on internal medicine, 1984. Electrolyte disturbance. IV-1. Regulation of acid-base balance].

酸 ま た は アル カリ が最 初 に 分 布 す るの は 細 胞 外 液 で あ り,こ の緩 衝 能 は 大 き く,350mEqの 酸 を加 え て もpHは7.40か ら7.00に 変 化 す る に留 ま る.次 い で肺がPco2を 変化 させてpHの 変動を最小限に抑 え,第3に 細胞内の緩衝作用が働 く.細 胞内の緩 衝は負荷条件によつて異なるが,そ の緩衝能は一 般に細胞外液よりも大きい 腎の排泄作用は始動 が遅 く,酸 排泄は24時間後から,ア ルカリ排泄は 6~8時 間後から開始される.負 荷された酸やア ルカリの体外排泄には時間がかかるが,こ の間は 体内の緩衝作用が働 くから,血液pHは 殆 ど変化 し ない。 3.肺 と腎の緩衝作用 Pco2は 換気によつて調節され,換 気は呼吸中枢 によつて調節 されている.Pco2お よびpHの 変化 は,大 動脈弓および頚動脈に存在する末梢化学レ セプターと第4脳 室背側に存在する中枢化学レ セ プターによつて感受され,そ の情報が呼吸中枢に 送られ,換 気を調節する.こ の系の働きは迅速で 精巧であるが,同 時にPo2の 調節 も兼ねているの で,Po2の 状態によつて酸塩基平衡調節が影響を 受けることが起こる. 腎の近位尿細管では主 としてHCO3の 再吸収が 行なわれ,遠 位尿細管で主 として酸の分泌が行な われる。このHCO3再 吸収 と酸分泌の調節は,一 部 にはアル ドステロンによる調節作用を受けるが, 大部分は尿細管細胞 自体がpH変 化を感知 して,排 泄を調節する.酸 を排泄する場合には,水 素イオ ンをアンモニウムイオ ンの形 にして排泄す るか ら,ま ず尿細管細胞の中でア ミノ酸からアンモニ アを生成する必要があ り,こ のための酵素合成に 表1.代 償作用 とその作用速度